2012年6月30日 汚染サイトに関する
IPENと化学物質問題市民研究会プレスリリース
新たな水銀条約交渉は
“水俣条約”と呼ばれるに値しない方向に進んでいる
汚染サイトの浄化も被害者の補償も求めていない

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情報源:For Immediate Release
30 June 2012 by IPEN and Citizens Against Chemicals Pollution (CACP)
New MercuryTreaty negotiations heading towards losing the right to be called the“Minamata Convention”
No cleanup of contaminated sites nor compensation of victims required
http://ipen.org/hgfree/wp-content/uploads/2012/06/
Press-Release-INC4-Contaminated-Sites_final-30-June.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
Translated by Takeshi Yasuma
Citizens Against Chemicals Pollution (CACP)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年6月30日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/IPEN/INC4/IPEN_PR_INC4_Contaminated_Sites_jp.html

水銀に関する法的拘束力のある世界的協定書に関する政府間交渉委員会第4回会合(INC4)
2012 年6 月27 日(水)〜7 月2 日(月) プンタデルエステ(ウルグアイ)
国際 POPs 廃絶ネットワーク(IPEN)及び化学物質問題市民研究会(CACP)プレスリリース 2012 年6 月30 日
連絡先:
Jindrich Petrlik(Arnika Association, チェコ共和国)、
IPEN 重金属ワーキング・グループ共同議長
メール jindrich.petrlik@arnika.org
安間 武(化学物質問題市民研究会、日本)
メール ac7t-ysm@asahi-net.or.jp

新たな水銀条約交渉は
“水俣条約”と呼ばれるに値しない方向に進んでいる
汚染サイトの浄化も被害者の補償も求めていない


 【プンタデルエステ、ウルグアイ 2012年6月30日】ウルグアイのプンタデルエステで行なわれている水銀に関する法的拘束力のある世界条約に関する政府間交渉委員会第4回会合(INC4)で今回発表された条文は、汚染サイト浄化のための義務的な行動を求めていない。“これは衝撃的なことである”とIPEN 重金属ワーキング・グループ共同議長ジンドリッヒ・ペトロリク(Arnika Association, チェコ共和国)は述べ、”汚染された地域の人々から水銀条約はどのような行動を求めているのかと訊ねられたら、我々は、締約国は全く何も要求されておらず、何もしないことが許されていると答えなくてはならない。これは非常にがっかりさせられる結果である”と、付け加えた。

 ”現在の条約案の文言の下では、水俣湾で起きたような汚染サイトがあっても、それを特定し、浄 化し、被害者に対応すべき義務が求められていないので、無視されることになるであろう“と、化学物質問題市民研究会(日本)の安間 武は述べた。”もし条約の文言自体が水俣のような惨事が将来起きることを許すなら、世界水銀条約を‘水俣条約’と命名するのは恥ずべきことである“。水俣湾ではチッソ株式会社が無責任にも水銀を海に流した後に、非常に多くの人々が水俣病になった。

 汚染サイトに関する条項はわずか十数行であり、汚染者が浄化のために、又は被害者の補償のた めに支払うことを義務付けていない。条文は汚染サイトに対して自主的なアプローチを推進しており、貧しい国に汚染サイトを浄化するための資金を与えようとしていない。“汚染者は、水や陸地を不注意に汚染しても、彼等に支払いを求める又は被害者の補償を求めるために、条約を誰も利用することができないということに満足するであろう。各国代表者等はこの負担を被害者や納税者の肩にかけようとしている”と、この会議に参加し強い水銀規制措置を求めている国際的な非政府組織のネットワークであるIPEN のINC4 議長フェルナンド・ベジャラーノは強調した。

 “我々は、締約国は汚染サイトを特定し、特性化し、浄化のために最悪の汚染サイトを優先付けることを義務付けられるべきであると信じる”と、IPEN の上席科学アドバイザーであるジョー・ディガンギは述べた。条約が2013年1月に予定されている会合で最終的に決まる前に、IPEN は交渉会合の担当者らに対し、この決定をもう一度見直し、行動を義務的なものとし、汚染者と政府に汚染サイトの修復に責任を持たせ、汚染による被害者を補償させる条文を含めることを強く求める。

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 IPEN は、有害物質のない将来を求めて活動する116 以上の国から700 以上の健康・環境団体が参加する世界的なネットワークである。http://ipen.org/hgfree/home/



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